▼今週の注目記事  税新1806号 1面より

税理士にメリットはあるのか?
登録政治資金監査人

 国会議員が関係する政治団体は資金の使途について税理士などの専門家による監査を受けることが義務付けられている。監査を行えるのは専門家のなかでも「登録政治資金監査人」として登録し、「政治資金適正化委員会」が実施する規定の研修を修了したひとに限られる。パーティー券収入を記載していなかったり、キックバックで裏金化していたりした国会議員を相手に、税理士の「監査」はどこまで機能していたのか。また、意図的な不記載などが横行している実態がこれほどまでに明らかになった後も、税理士が監査人として登録し、その業務を続けるメリットはあるのだろうか。

 登録政治資金監査人とは、税理士、公認会計士、弁護士のうち、政治資金監査人名簿に登録しているひとを指す。昨年7月末現在の登録者数は5096人。資格別の人数(割合)は、税理士が3794人(74.5%)、公認会計士が974人(19.1%)、弁護士が328人(6.4%)で、約4人のうち3人を税理士が占めている。 政治資金監査人の職務は、国会議員関係の政治団体の会計責任者が作成した収支報告書・会計帳簿などの関係書類について、法律と「政治資金監査マニュアル」に基づき監査を行い、「政治資金監査報告書」を作成することにある。 政治資金監査は、公認会計士の行う「監査証明業務」に該当しないため、監査人が作成する「政治資金監査報告書」には、国会議員関係の政治団体の収支報告書や会計帳簿などの適正性・適法性について、専門家としての意見を追記することができない。また、政治資金の使途の妥当性を評価するものでもないため、たとえキャバクラの領収書が大量に出てきたとしても、適切に収支報告書にさえ記載されていれば問題なしと判断するしかない。しかも、支出に関する項目のみが監査の対象となるため、税理士は収入の部分についてノータッチとなる。さらに、監査は「全件調査・現物確認」で実施しなければならないため、すべての領収書の「現物」を会計帳簿と突き合わせなくてはならない。 監査した結果としての「不備」などを専門家として意見表明することもできずに、これだけ手間のかかる監査業務の依頼を受けるとしたら、相応額の報酬を得なければ割に合わないと考えるのは当然だろう。 しかし、実際に国会議員関係の政治団体からの依頼を受けたことがある、東海地方のある税理士によると「私が受け取った監査報酬も、当然ながら収支報告書に記載されます。記録が残る以上、議員センセイの裏金と違って、ボッタくるような真似はできません」という。この税理士の場合、監査報酬はわずか20万円だったそうだ。全件確認まで求められる監査の報酬としては安すぎるのではないかと質問したところ「はい、その通りだと感じました。私は1つの団体を、しかも1度きりしか監査した経験がないので、ほかの団体が支払う報酬額の相場≠知りませんし、比較することはできないのですが、あまり大物ではない議員の政治団体なんて、そんなものらしいですよ。まあ、私は懲りましたので、二度とお受けしないつもりです」とのこと・・・

(この先は紙面で…) 購読のお申込みはこちらから>>

▼連載ラインナップ
超人気コラム
 「税界羅針盤」 関根稔
日本一保険に詳しい税理士が教える
 「生命保険活用術」 高橋博
税界の今を切り取るオピニオン
 「税論卓説」 岡田俊明監修
新時代の顧問先強化
 「NPO法人の活用」 金子尚弘
一般紙では書けない銀行対策
 「資金繰り支援の秘訣」 上田真一
中小企業向けに絞ってお届け
 「オススメ助成金情報」 川澄佳美





“NP税理士川柳” こちらの投稿フォームにて募集中!







会計事務所のための広報・PRお役立ちコーナー







↓↓↓ 前回の結果 ↓↓↓