▼今週の注目記事  税新1652号1面

相続税調査
狙われる海外資産と無申告

 海外に相続財産がある人に対する税務調査の件数がこの10年で2.5倍にもなっていることが国税庁の報告書で分かった。これに加え、相続財産が基礎控除額以下であるとして相続税を申告していなかった人を対象とした調査もほぼ同じペースで激増している。相続税は税理士がミスをした際に顧客に支払う損害賠償額が他の税目以上に高額になりやすく、「海外資産」と「無申告」にまつわる相続への関与にはより一層の慎重さが求められることとなりそうだ。

国外財産の調査 10年で2.5倍

税務署が2018年度に実施した相続税の税務調査は1万2463件で前年度から0.9%減少した。ただし、海外に相続財産がある人に対する調査に限れば1202件で前年度と比べて6.5%増加している。近年、海外資産を重点的な調査対象とする傾向が強まっており、10年前と比べると、相続税調査全体の件数は1万4110件から1割減少している中で、海外資産に対する調査に限れば475件から2.5倍にもなっている。国税当局が重点的に調査している理由は、海外が絡む相続は追徴税額が高額になりやすいことと無関係ではないだろう。相続税調査全体の追徴税額の平均は568万円であるのに対し、海外財産の調査では731万円にまで跳ね上がる。

海外に財産を持っているというだけで顧問先が痛くもない腹を探られかねない状況であることもデータで明らかになっている。相続税調査全体で見ると違法行為が発覚した割合は85.7%だったのに対し、海外資産が絡む相続に限れば1202件のうち144件と、発覚割合は12%にまで下がる。国内財産しかない相続に対しては高確率で問題があると判断してから調査に着手するが、海外財産がある相続に対しては問題を指摘できるかどうかが不明瞭でも積極的に調査に移行しているようだ。

海外財産に対する調査の増加を支えている要因のひとつが、他国の税務当局間における情報交換のルール「CRS(共通報告基準)」が2018年にスタートしたことだ。日本の銀行に口座を開設した非居住者の情報について国税庁がその非居住者が住む国に提供し、逆に日本人が海外に開設した銀行口座の情報がその国から国税庁に送られてくる仕組みとなっている。国税庁によると、制度が始まった18年に国税当局に寄せられた海外口座の情報は74万件だったが、19年は189万件入手したという。1年で倍以上に増えていることになる。

国税当局はCRSによって納税者本人でさえ気づいていなかった海外資産を見つけ出してくることもある。18年に発覚した申告漏れ事例を見ると、相続人であるAさんは、被相続人の存命中に「国外に財産が1億円くらいある」という説明を聞いてはいたものの、具体的にどの国のどの金融機関に財産が預けられているのかまでは知らされていなかった。そのため被相続人の口頭での話だけを基に海外財産を1億円として申告。これに対して税務署はCRSによって情報を集め、被相続人が複数の国に口座を所有し、その合計金額が1億円を超えている事実を把握した。課税価格は3200万円上積みされ、650万円の追徴税額が課された。CRSによって国税当局が情報収集体制を整えたことを示す一例と言えそうだ・・・

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