▼今週の注目記事  社長のミカタ 5月号1面より

資産を守る選択肢
増え続ける相続放棄

 相続放棄を選ぶひとが、右肩上がりで増え続けている。地方の土地や空き家を引き継ぐケースが増えていることなども原因しているようだ。こうしたなかで関心が高まっているのが、相続放棄をめぐる税務だ。相続放棄したのであれば税金は関係ないと思ってしまいがちだが、相続放棄はほかの相続人にも影響してくるだけにそう単純な話でもない。特に生命保険金では、対応次第で資産状況に大きな差が出ることにもなりかねない。

過去最多の28万件

 相続財産が不動産や預貯金などプラスの財産ばかりならよいが、銀行からの借金などマイナスの財産もある場合、そう簡単に「相続します」ともいえなくなる。プラスの財産と巨額の負債を一緒に相続したことで、借金取りに追われる日々となってしまう可能性も否定できない。そんな場合に使えるのが、「相続放棄」という選択肢だ。

 相続が発生した場合、相続人には3つの選択肢が与えられる。相続人が被相続人のプラスの資産だけでなく借金等のマイナス財産もすべて受け継ぐ「単純承認」。相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない「相続放棄」。被相続人の債務がどの程度あるか不明であり、財産が残る可能性もある場合などに、相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ「限定承認」だ。

 最新の司法統計によれば、2023年の相続放棄の受理件数は28万2785件で、前年から1割弱増え、過去最高を記録した。近年、相続放棄の件数は右肩上がりで増え続けている(グラフ)。増加の原因としては、高齢社会化により単純に死亡数が増え続けていることがあるほか、地方の空き家や土地といった活用の見込みのない資産が増えていること、核家族化の進行で交流の少ない親族が増えていることなどもあるようだ。

 プラスの資産より借金などマイナスの資産の方が明らかに多い場合には、相続放棄を検討したい。相続放棄は、相続開始を知った時点から3カ月以内に家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出することで完了する。逆にいえば、この3カ月間ですべての相続財産を把握し、相続放棄するべきか否かの判断をしなければならないということだ。なかなか相続財産の全体像が把握できないという場合には、家庭裁判所に申し立てて期間を延長してもらうこともできる・・・

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