▼今週の注目記事  社長のミカタ 7月号1面より

国税当局の宝刀≠ノサビ!?
2太刀目は不発
納税者が完全勝訴

 大手レコード会社「ユニバーサルミュージック」が組織再編に絡む約58億円の課税処分取り消しを求めた裁判で、最高裁はこのほど、処分を取り消した原判決を支持して国側の上告を棄却した。国は課税処分に際して伝家の宝刀≠ニも呼ばれる法人税法132条「同族会社の行為計算否認規定」を適用したが、司法に正当性を否定されたかたちだ。

相続税とは逆の結果に

 裁判で争われたのは、ユニバーサルミュージックが2008年に行ったグループの組織再編に絡む税務処理。同社は当時、前身の法人など3社の全株式を買収、吸収合併する形で設立されたが、問題となったのは、その際にグループの国外法人から借り入れた約866億円の処理だった。

 同社はこの866億円にかかる支払利息を損失として計上したが、東京国税局は「日本国内の音楽事業に実質的な変化がなく、一連の再編は所得を圧縮する目的で行われた租税回避だ」と指摘。損金算入を認めず、約181億2400万円の申告漏れがあったとして、計58億円超の追徴課税を決定していた。

 同社の一連の行為は、税法になんら触れるものではない。にもかかわらず申告漏れと認定されたのは、法人税法132条に定められた「同族会社の行為計算の否認規定」を適用されたためだ。この規定では、同族会社による法人税の負担を「不当に減少」させる税務処理については、当局が税額を再計算できると定めている。つまり合法の範囲内で行われた処理であっても、それが租税回避目的と認められれば否認できるということだ。いわば法人税における「後出しルール」とも呼べる規定で、国税当局の伝家の宝刀≠ネどとも呼ばれる。

 ここで思い出すのが、つい先日話題となったタワマン節税をめぐる4月19日の最高裁判決だ。この判決は、これまた国税の伝家の宝刀≠ニ呼ばれる別のルールが全面的に認められたことで注目された。こちらの宝刀≠ヘ相続税の基本通達「総則6項」に定められたもので、内容は「通達によって評価することが著しく不適当と認定できるケースに限り、国税庁長官の指示を受けて相続財産を評価する」というもの。合法的な節税行為であっても行き過ぎていれば否認できるため、法人税法の行為否認規定と同様の「後出しルール」となっている。相続税の総則6項が宝刀≠フ1太刀目だとしたら、今回の法人税132条は2太刀目といったものだろう。

 ではなぜ今回の裁判で争われた2太刀目、法人税法132条が司法に否定されたのか。同条では、ある税務処理が租税回避目的かどうかは、具体的には「経済取引として不合理・不自然であるか」で判定されると規定している。つまり当局は、ユニバーサルミュージックの組織再編を経済取引として不合理であると判断したわけだ。

 だが司法の判断は異なった。19年6月に下された一審判決では、「再編は資本の簡素化や経営効率化のためで、国外法人からの借り入れもグループ内の財務戦略の一つ」として経済合理性を認定し、国の主張を全面的に退けた。そして20年6月の二審判決も、「借り入れが不自然、不合理なものであるという事情は見当たらない」として、一審の判決を支持した・・・

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