▼今週の注目記事  社長のミカタ 12月号1面より

未提出だと罰則も
年末調整は大変だ!

 年末調整書類の税務署への提出期限は翌年1月末だが、記入漏れや訂正の処理にかかる時間を考慮して毎年11月ごろから準備を始めるケースがほとんどだろう。今年の年末調整では、住宅ローン控除や海外親族の扶養控除、配偶者の退職金に関する記載欄の新設など、小粒ながら多くの人に関わる見直しが講じられている。従業員の年末調整が間に合わなければ、罰則は事業者にふりかかってくることを踏まえ、万全の準備で臨みたい(関連記事6・7面)。

見落とし厳禁!3つの変更点

 年末調整書類は法律上、翌年1月31日までに税務署へ提出しなければならないことになっている。だが、これはあくまで訂正などの処理を済ませた上での最終期限だ。実際には、年末調整で精算した源泉所得税の納期限が1月10日であること、さらにその前に年末年始を挟むことなどを踏まえて、12月中に年末調整の業務を終わらせておくケースがほとんどだ。余裕を持って年内に年末調整を終えるためには、従業員から12月初めまでに関係書類を提出してもらうことが望ましい。年末調整のスケジュールはこのように、期限から逆算して決まっている。

 全従業員が関係書類を遅れなく漏れなく提出してくれればよいが、現実的にそうはいかない。毎年提出が遅かったり記入漏れが多かったりと、困った従業員もいるだろう。だがこうした場合でも年末調整が間に合わなければ、その責任は経理担当者や経営者がかぶることになる。事業者が従業員の年末調整を怠り、納めるべき税額が少なくなったような場合は、代表者や担当者に10年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金という重い罰則が用意されている。本人にも確定申告の必要が出てくるなど良いことがないので、しっかり年末調整は期限内に済ませるようにしたい。

 年末調整を巡っては2020年に所得控除などに見直しが入り、書式が大きく変わったが、それ以降は目立った変更は行われていない。とはいえ昨年からの変更点がないわけではないので、記載ミスなどで税金を取られすぎないよう、注意が必要だ。

 今年の年末調整から変わった点は大きく分けて3つある。まず1つ目は、配偶者・扶養親族が受け取った退職手当等を記載する欄が新設されたことだ。

 所得税の計算では、合計所得金額に退職所得を含む一方、住民税では退職所得は含まれない。そうなると例えば本年内に退職した配偶者がいる場合、所得税では所得上限に引っかかって配偶者控除を受けられないが、住民税では控除を受けられることがあり得る。これまでの書式では扶養親族の退職手当を把握できず、住民税の控除漏れが散見されていたとして、今年の年末調整書類からは「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」という記入欄が追加された。

 2つ目の見直しは、海外に住む扶養親族の控除要件が厳しく制限されたことだ。これまでは16歳以上の国外扶養親族が対象となっていたが、今年からは「30歳以上70歳未満」のいわゆる現役世代が原則として除外されることとなった。国外親族の生活実態を把握することは難しく、ある程度稼いでいた親族でも扶養控除が認められていたとの指摘を踏まえ、見直されたものだ。今年からは、@留学などの理由で国外にいる親族、A障害者、B生活費または教育費として年38万円以上の支払を受けている人―のいずれかに当てはまらない限り、現役世代は扶養控除を適用できない。特に外国人労働者を多く雇用しているケースでは、従業員への丁寧な説明が欠かせない見直しといえる・・・

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