国税当局が、今年夏から相続税の税務調査などにAIを活用する方針を固めた。相続税の申告書や過去に提出された財産債務調書などの各種調書をAIが分析し、申告漏れの可能性を〝採点〟し、調査先の選定につなげるという。
現在、個人の財産状況を把握する資料としては、毎年の確定申告書類に加えて、財産債務調書、国外送金等調書、国外財産調書などがある。これらの調書制度はここ10年ほどで整備され、富裕層の資産状況に関するデータが着実に蓄積されている状況だ。これらに加えて、生命保険金の支払調書や、金地金を売却した際の支払調書、さらに過去の申告漏れ事例などをAIに読み込ませて、調査先の分析に活用するという。
AIは、これらのデータをもとに、被相続人ごとに申告漏れリスクをスコア化。最終的に人間の手でチェックを行い、実際の税務調査につなげる。2023年以降に発生した相続が、AI活用の対象となるようだ。
国税当局は近年、調査を含む税務行政のDX化への取り組みを進めている。国税庁が昨年6月に公表した資料「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」には、申告手続や課税・徴収義務の効率化などさまざまな面について、どのようにIT化していくかが盛り込まれた。
それによれば、税務調査については、申告・決算情報、資料情報、調査事績などのデータを分析用に加工し、AIに読み込ませるという。加工されたデータは、統計分析・機械学習等の高度な手法を用いて法則性を発見する「BAツール」やプログラミング言語を用いて分析し、申告漏れの可能性の高い納税者を判定する。今回の、相続税調査へのAI導入も、こうした流れに乗ったものといえそうだ・・・
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