税庁によると、2025年度の税理士試験の受験申込者数の合計は4万5517人で、前年から3.6%増加した。20年度の3万5135人から5年連続で増えている。わずか5年で29.5%、じつに1万人以上が上積みされたことになる。
受験申込者は長年にわたって6万人台で推移してきたが、11年度に5万人台となり、それ以降は毎年減少を続けてきた。それが21年度以降は回復基調にある現状について、税理士会のある役員は「試験制度が以前と比べてひらかれたもの≠ノなってきたからではないか」と推察する。たしかに試験問題やおおよその配点の公開、さらには簿記論・財務諸表論の受験資格の実質撤廃、税法科目の学識要件の緩和など、立て続けに制度がかわり、申し込みのハードルが下がってきた影響はありそうだ。
また、7月24日に開催された日税連の総会で議題となった今年度の事業計画には、「次代の税理士制度を担う者を輩出・育成すべく、税理士法改正による受験資格要件の緩和の周知・広報施策を積極的に展開するとともに、職業としての税理士の魅力を訴求するなど、若者が税理士を選択するための施策を着実に実施していく」という文言が盛り込まれた。社会全体の若年人口の減少に伴って業界の先細りが懸念されるなかで、日税連としてはできる限りの手立てを講じて税理士を目指す若手を増やそうとしている。
だが現状でいえば、税理士業界に飛び込むひとが不足しているのが実態だ。売り手市場≠ニいわれ続け、多くの事務所では求職者に出会えていない。そのような状況下で少しでも採用活動の成功率を上げるには、多くの受験生が動く好機≠逃す手はない・・・(この先は紙面で…)