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▼今週の注目記事  納税3801号1面より

ナンノちゃんから三行半
ハッピーにしたい
熟年離婚

 女優で元アイドルの南野陽子さん(56)が離婚したことが報じられた。夫(52)が業務上横領容疑で逮捕されたことが原因と言われている。夫婦間の離婚危機は何度も報じられてきたナンノちゃんだが、50代半ばにしてついに離婚を選んだ。50代以降の熟年離婚は、ピークよりは減少傾向にあるとはいえ、それでも全体の多くを占める。離婚にまつわる税や年金についてまとめてみた。

籍を抜くと税制上のリスクも

 2020年に離婚した夫婦のうち、20年以上同居した「熟年離婚」の割合が21.5%に上り、厚生労働省が統計を取り始めた1947年以降で最高となったことがわかった。全体の離婚件数は、02年以降は減少傾向にあるものの、団塊世代の離婚が目立つ形だ。今回、報道された南野さんの婚歴は12年で統計の数字には含まれないが、56歳なら世間的には立派な熟年離婚と言えそうだ。

 離婚件数全体でみると、20年は19万3253組で02年の28万9836組をピークに減少傾向にある。ただ熟年離婚の割合は約70年間にわたって上昇傾向にあり、ここ数年は横ばいではあるものの、1990年の13.9%と比べて20年は約1.5倍にまで増えている。

 最近は、コロナ禍の在宅ワークで夫婦が同じ屋根の下で過ごす時間が増えたことで互いのストレスが溜まり、結果として離婚に至る「コロナ離婚」というキーワードが注目を集めていた。だが実際にはコロナ禍では時短業務や売上激減というなかで離婚を決断する夫婦はそれほど多くはなかった。だが、ポストコロナの時代に入ったいま、離婚問題に詳しい弁護士の一人は「そろそろいいかなと、妻の側から夫へ三行半≠突きつけるケースが出てくる可能性はある」と講演で語っていた。コロナの感染と大不況から脱したというのに、次には離婚による財産問題や税金で悩むことになる可能性は大きくなっているようだ。

 熟年離婚が若年離婚と大きく異なるのは、離婚時に財産が一定の規模になっているケースがあることと、年金を視野に入れなくてはならないことだ。若年離婚に付き物の子どもの養育費や、浮気などを理由とする慰謝料の問題が少ないかわりに、将来の生活費に直結する問題が浮上することが多い。

法律婚が持つ税制上優遇

 まず離婚に絡んで動くお金といえば、一般に「財産分与」「慰謝料」「養育費」がトップ3だが、これらは税法上では原則として非課税となっている。財産分与は夫婦共有の財産から自分の取り分を得ただけであり、慰謝料は相手の不貞などによりマイナスになっていた状態がゼロに戻っただけだとされるからだ。養育費については扶養義務に基づく生活費の支払いに該当し、利益の享受に当たらないことが理由だ。

 ただし、支払額が常識的に見て過大とみなされれば、その部分に贈与税が課されることになる。また、分与した財産が不動産であれば、これは分与を受けた側ではなく、分与を行う側に譲渡所得税が課されてしまうことがあることも覚えておきたい。

 さらに、大喧嘩のうえでの離婚ではなく、双方が合意のうえでの離婚であれば、離婚に伴う税制上のリスクも把握しておく必要がある。最近はダウンタウンの浜田雅功さん夫婦にみられるような、籍はそのままに別居を選ぶ夫婦や、また籍を抜いて別居しているが友人として付き合いを続ける卒婚≠ネどもトレンド入りしている。離婚が必ずしも一生の別れというものではなく、お互いの自由や生き方を認めたうえでのハッピー熟年離婚≠ェ市民権を得られつつあるなかで、離婚のせいで負担増となっては堪らない・・・(この先は紙面で…)

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