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▼今週の注目記事  納税3896号1面より

「認知症への備え」で注目
ホントのところ 家族信託ってどうなの?

 認知症対策として関心が高まっている家族信託。金融機関などでも相続支援サービスのひとつとして家族信託をサポートするケースが増えている。家族信託は認知症などで判断能力が衰えた場合に、家族が本人の財産を柔軟に管理できることが大きなメリットだ。半面、家族信託の現場では、「本人のために財産が利用されていないのでは?」といった疑問の声も聞かれる。

 高齢社会の相続を考える上で、被相続人の認知症リスクは避けて通れない問題だ。厚生労働省のまとめによると、2022年の全国の認知症高齢者の数は443.2万人、高齢者全体でみた認知症有病率は12・3%となっている。今後、認知症の高齢者はさらに増加する見通しで、15年後の40年には584.2万人(同14.9%)になると推計されている。認知症リスクは他人事ではないのだ。

 認知症が進み、「意思能力がない」と判断されると、原則として法的な契約行為は一切できなくなる。不動産の売買や生前贈与、養子縁組、生命保険の加入はもちろん、遺言書の作成もできない。つまり、実質的な相続対策は何ひとつできない状態になってしまう。

 それだけではない。認知症になった本人の銀行口座が凍結されてしまえば、預金も引き出せないので、介護する家族はその費用を自分たちで負担しなければならない。

 相続対策はとにかく早めの準備が効果的であることは常識だ。スムーズな相続のために、遺言を残したり、生前贈与したりすることは大切な取り組みだが、認知症になってしまった場合の備えとしては不十分だ。遺言が効力を発揮するのは相続後だし、生前贈与したお金が本人のために使われる保証はない。

思いを反映できる相続プラン

 そこで、認知症に備えた有効な対策として注目されているのが家族信託だ。家族信託では、被相続人を委託者、実子などを受託者として、委託者の現金・預金、自宅やマンション、銀行口座などの財産について、受託者に管理・処分する権限を託す。信託財産の運用や処分によって得た利益は、受益者のために使われる。本人の財産管理を家族に託しておくことで、認知症になった際の資産凍結を防ぐわけだ・・・(この先は紙面で…)

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