オーナー社長向け財務・税務専門新聞『納税通信』。
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高齢社会の相続を考える上で、被相続人の認知症リスクは避けて通れない問題だ。厚生労働省のまとめによると、2022年の全国の認知症高齢者の数は443.2万人、高齢者全体でみた認知症有病率は12・3%となっている。今後、認知症の高齢者はさらに増加する見通しで、15年後の40年には584.2万人(同14.9%)になると推計されている。認知症リスクは他人事ではないのだ。
認知症が進み、「意思能力がない」と判断されると、原則として法的な契約行為は一切できなくなる。不動産の売買や生前贈与、養子縁組、生命保険の加入はもちろん、遺言書の作成もできない。つまり、実質的な相続対策は何ひとつできない状態になってしまう。
それだけではない。認知症になった本人の銀行口座が凍結されてしまえば、預金も引き出せないので、介護する家族はその費用を自分たちで負担しなければならない。
相続対策はとにかく早めの準備が効果的であることは常識だ。スムーズな相続のために、遺言を残したり、生前贈与したりすることは大切な取り組みだが、認知症になってしまった場合の備えとしては不十分だ。遺言が効力を発揮するのは相続後だし、生前贈与したお金が本人のために使われる保証はない。
そこで、認知症に備えた有効な対策として注目されているのが家族信託だ。家族信託では、被相続人を委託者、実子などを受託者として、委託者の現金・預金、自宅やマンション、銀行口座などの財産について、受託者に管理・処分する権限を託す。信託財産の運用や処分によって得た利益は、受益者のために使われる。本人の財産管理を家族に託しておくことで、認知症になった際の資産凍結を防ぐわけだ・・・(この先は紙面で…)
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