▼今週の注目記事  税新1866号 1面より

「長年の付き合い」は通用しない
顧客離れに歯止めを!

 セカンドオピニオンを求めて経営者が顧問税理士とは別の税理士の事務所を訪れ、その後に元の事務所へ顧問契約の解除を告げるという話は珍しいものではなくなった。ただでさえ中小事業者数の減少などさまざまな要因で顧客離れのおそれがあるなか、会計事務所は何らかの対策を講じなければならない。顧問先が抱えるさまざまな悩みのすべてにひとつの事務所だけで対応するのは困難である以上、解約を抑止するには、ほかの専門家との協業を視野に入れる必要がありそうだ。

専門家とのタッグも視野に

 ITの進展で、税理士と顧客の物理的な距離が業務提供の障害ではなくなった。納税者がさまざまな情報を容易に得られるようになったこともあり、地元の税理士と当然のように顧問契約を結ぶという常識≠ヘ大きく変化している。税理士としては、同じ地域の顧客から契約解除を突然切り出されるリスクが高まっていることになる。

 顧問先が別の事務所にセカンドオピニオンを求め、その流れで税理士替え≠するというケースも散見するようになった。カバーする分野の広さや対応力の高さなどを肌で感じた結果、新たな税理士と契約を結ぶというパターンだ。セカンドオピニオンが医療に限らず専門知識が必要な多くの分野に浸透したなかで、税理士も昔のような「長年の付き合い」に依存した関係だけでは顧問契約を維持することが難しくなっている。

 そのような状況下で、税理士事務所はどう生き抜いていけばよいか。顧問先のあらゆる悩みに自分の事務所だけで応えられるなら顧客の離脱を防げるかもしれないが、そこまで態勢を整えるのは現実的ではない。そうであれば、事務所が得意ではない分野に関しては専門家とタッグを組み、顧客が抱える多様な悩みについて円滑にセカンドオピニオンやアドバイスを求められる仕組みをつくるほかない。

 税の専門家であっても税理士それぞれに苦手な税目があることがインターネットを通じて知られるようになった。特に相続税に関してはその傾向が顕著で、そうした実態をふまえてセカンドオピニオンサービスを提供している税理士事務所が少なくない。それらは顧客の奪い合いを目的としたものばかりではなく、サービスの説明に付記するかたちで「顧問税理士を替えていただく必要はありません」といったコピーを標榜しているケースが見受けられる。事業者支援に強い事務所に顧問税理士を任せたまま、相続税だけは関与するというスタイルだ。あくまでもすみ分け≠セが、納税者が顧問税理士に相談せずに相続に強い税理士の事務所に赴き、心強い存在と感じて顧問契約を変更する可能性もある。相続税に関わる予定がないのであれば、相続税関係は協業関係にある税理士を紹介できると、日ごろから伝えておくことを考えたい・・・(この先は紙面で…)

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