オーナー社長向け財務・税務専門新聞『納税通信』。
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「今の事業だけでは先が見えている。将来を見据えると、新たなことにチャレンジしなければ生き残っていけないだろうと考えた」
こう語るのは、7年前に先代から事業を承継した、栃木県で企業看板のデザイン・製作・設置を営む40代の男性経営者だ。商工団体の青年会などでも、既存事業の先細りと新規事業への参入が頻繁に話題に上るといい、その背景には深刻化する地方の人口減少やIT社会化による消費者行動の変化などさまざまな要因があるようだ。
現状維持では将来が厳しいと考えた結果、男性の会社は既存の業務と並行して、数年前から農業に新規参入した。農業を選んだ理由として、「この地域はもともと農業の盛んな土地で、ノウハウが積み上がっている。東京などの大消費地に近いという強みもある」と説明し、「まだまだ事業の軸とまではいかないが、成長性があり、将来に明るい光がさしている」と意気込む。
この男性に限らず、承継を機に新規事業を立ち上げる後継者は多い。そして、若い経営者の挑戦は好結果を残すというデータもある。「小規模企業白書」では、事業承継を機に何らかの新たな取り組みを行った事業者が約7割で、事業承継する直前3年間と取組実施後3年間の業績傾向をそれぞれ訊ねたところ、承継前に上昇基調だった事業者が23.2%であるのに比べて、取組後に上昇基調になったのは57.5%と、30ポイント以上の顕著な差が出ている・・・(この先は紙面で…)