オーナー社長向け財務・税務専門新聞『納税通信』。
経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。専門記者による国税関連機関、税理士等への密着取材で培われた報道内容は、一般紙や経済・ビジネス雑誌では決して読むことはできません。

▼今週の注目記事  納税3815号1面より

過去最高値を更新!
金で投資と節税を両立

 ウクライナ危機などの情勢不安や物価高騰、円安によって、金の価格が過去最高値を更新した。10年前の2倍以上に膨らんでいる。金は「有事の際に最も安全な資産」といわれ、金の保有は富裕層にとって強力な資産防衛術であると同時に、ドル建てで取引される金は円安によって価格が上昇しやすいことから、魅力的な投資対象でもある。やり方次第では有効な相続税対策にもなる金投資に、資産家の熱い視線が注がれている。

価格は10年で倍以上に

 3月6日から大阪市中央区の百貨店で開催された「大黄金展」は、11日に最終日を迎えた。仏像、仏具、和洋食器、置物など1000点以上の金製品が展示・販売され、中でも高さ2.6メートル、重さ26.5キロの純金製レリーフ『昇龍』(参考価格16億5千万円)には多くの人が目を見張っていた。

 さらに、会場で注目されたのが、金の店頭小売価格が3月4日に過去最高値を達成したというニュースを知らせる張り紙だ。同日には日経平均株価が史上初めて4万円台の大台に到達したが、金も同時に過去最高値、そして初の1万1千円台を記録した。金価格はその後も上昇を続け、地金商最大手の田中貴金属工業の発表によれば、11日には日経平均が一時1100円以上値下がりするのを横目に、金の店頭小売価格は1グラム当たり1万1380円に達した。

 金価格の上昇は、何も今に始まったことではない。田中貴金属工業によれば、今から約30年前、1991年の金小売価格(最高値、以下同)は1826円だった。その後しばらくは1千円台前半で推移していたが、2005年に2千円を突破すると、その後は増減を挟みつつも上昇を維持。14年3月の最高値は4791円であり、この10年で金の価値は2倍以上になっている計算だ。

 特に近年の金価格の高騰の背景にあるのが、ウクライナ危機や世界的なインフレへの懸念といった情勢不安だ。なぜ情勢不安があると金価格が上がるのか。例えば他の投資手段である株式は企業の業績だけでなく、経済的もしくは地政学的な要因から価格が大きく変動し、さらに経営破たんなどで会社がなくなれば価値がゼロの紙切れになる恐れすらある。その点、金には実物が存在し、それ自体に価値がある。しかも世界中どこでも同価値で換金でき、燃えてなくなることもないため、「有事の金(ゴールド)」として重宝されてきた。さらに採掘に費用がかかることから流通総量が限定されて希少価値が担保され、供給過剰による価格急落の可能性も低い。こうした事情を踏まえ、情勢不安ないま、富裕層の資産防衛術として金投資が人気を集めている。

 さらに値崩れしにくいという「守り」の面だけでなく、「攻め」の観点からも金は注目されている。前述したように、金価格は長期的にみて安定した上昇傾向にある。もちろんこの先も同じである保証はないものの、上がり下がりの激しい株や金融商品に比べれば、値上がりが期待できる投資先というわけだ。

 こうした状況にさらに拍車を掛けているのが、目下急速に進行しつつある「円安」だ・・・(この先は紙面で…)

購読のお申込みはこちらから>>