オーナー社長向け財務・税務専門新聞『納税通信』。
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▼今週の注目記事  納税3885号1面より

相続税対策に使えるが…
一般社団法人の乗っ取り<潟Xク

 子へ直接渡すのでなく、「一般社団法人(一社)」を介して財産を引き継がせると、相続税負担を減らすことができる。ただ、理事に占める親族らの割合を半数以下に抑えるなどの要件がある。だからといって他者を招き入れると、大事な財産を委ねた法人が乗っ取り≠ノ遭うリスクが高くなる。目先の「得」を求めたがために、将来大きな「損」を被ることがないよう、一社をめぐる税金の仕組みとリスクを把握しておきたい。

親族役員の割合に制限

 2008年に制度改革が行われるまで、社団法人や財団法人は、官庁が定める厳しい基準を満たし、最低でも億単位のお金を保有していないと設立できないものだった。

 しかし改革で誕生した一般社団法人(以下「一社」)は、厳しい要件や多額の資金が不要となり、誰でも設立できるようになった。簡単に登記のみで設立できるだけでなく、公益法人とは異なり設立後も行政庁など役所の監督を必要とせず、自由に営利活動を行うことも可能だ。株式会社とほぼ同様に運営することができる法人といえる。

 では一社と株式会社との違いはどこかというと、持分があるかどうかという一点に尽きるだろう。株式会社では資本金の持分に応じて剰余金が分配され、解散時の残余財産も分配されるが、一社では持分がないため、剰余金の分配や解散時の残余財産の分配は基本的に行われない。

 また株式会社では持分割合に応じて会社を所有するが、一社は持分がないので、誰も法人を所有していない。仮に法人を設立する際に資金を出したひとがいても、それが剰余金や残余財産の分配というかたちで個人に戻ることはない。

 この「誰のものでもない」という点を活かしたのが、一社を利用した相続税対策だ。株式会社であれば、株主や出資者に相続が生じれば、持分に応じて会社の資産や負債が相続税の課税対象になる。しかし一社には持分がないので、どれだけ出資していても、法人の保有する資産や負債は出資者の所有物ではなく、相続税の対象にならない。中小オーナー企業の社長一族の相続では自社株式が主たる財産となるため、これをオーナー個人から一社に移すことによって相続税を大きく節税できるというわけ・・・(この先は紙面で…)

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