購入した時に損金算入が可能 備蓄する非常食  食べなくても初年度に税負担減

 企業に対して、非常食を備蓄しなければいけないという義務は課されていないが、多くの自治体では備蓄に関する努力義務が設けられている。例えば東京都では、東日本大震災をきっかけに「東京都帰宅困難者対策条例」を策定し、「従業員が施設内に留まれるように3日分の水・食料・その他必要物資を備蓄しておくこと」を求めている。
 1食あたり数百円でも、全社員が数日しのげる分の保存食を確保するとなると高額な買い物になる。社員の人数によっては何十万円、何百万円のお金が必要で、その出費をどの時期に損金にできるかによって会社の税負担は大きく変わる。
 非常食は、会社の資産に計上して使ったタイミング、つまり食べた時に損金にするのではなく、あるいは国が決めた耐用年数に応じて数年にわたって損金にするのでもなく、備蓄をした時点で事業のために使ったとみなして損金処理できる。国税庁によると、①食料品は繰り返し使用するものではなく、消耗品としての特性を持つものであること、②その効果が長期間におよぶものであるとしても、食料品は減価償却資産や繰延資産に含まれないこと――などがその理由だ。


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