奨学金の返済に苦しんでいる大学生の息子に代わり、自分が一括返済してやろうと考えた。ほかの学業に関する費用と同様に、扶養義務者である自分が子の奨学金を肩代わりしても贈与税がかからないと考えてしまいそうだが、それは誤りだ。
親子や夫婦などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産は原則として、通常必要と認められるものであれば贈与税がかからない。しかし奨学金は教育のためのお金ではあるものの、子ども名義で借りるため、親が一括返済する場合は「子の債務の肩代わり」とみなされるためだ。
これを回避する方法は2つある。1つ目は、本当に子に資力がなくて奨学金の返済ができないケース。国税庁の定めたルールでは、「債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合」に限り、扶養義務者が返済を肩代わりしても贈与税を課さないとしている。ただし「返済が困難」というのは毎月の生活費が苦しい程度ではなく、本当に返済が不可能なケースに限られるので、税務署に認めてもらうハードルは高い。
もう1つの方法が、肩代わりする額をほかの贈与分を含めても年間110万円までに抑えるやり方だ。贈与税のルールでは年間110万円までは非課税となるため、この範囲内に肩代わり額を抑えることで税金を免れることができる。