個人が資産を売って売却益が出ると所得税や住民税がかかる。ただし、同一年内にほかの売却で損を出せば、売却益と売却損を相殺して、売却損の方が多ければ税金はかからない。
売却によって出た損益の金額は、「売却代金-(取得費+売却費用)」で計算する。取得費は資産の購入代金や取得に際してかかった費用だ。購入時より安く売れば税金はかからないと一方的に決めつけてしまう人もいるが、そういうわけではない。また売却する不動産が相続や贈与で取得したものなら、もともとの被相続人や贈与をした者の取得費を引き継ぐことになる。土地や建物の取得費が不明なら、売却代金の5%とすることも可能だ。
さらに同じ年に2つ以上の不動産を売った場合は、不動産ごとに売却損益を計算することになる。売却益と売却損が出れば両者を相殺して、売却益の方が多ければ相殺後の金額に税率をかける。所有期間が5年以下の売却損(益)と5年超の売却益(損)も相殺できるので、くれぐれも見落としのないようにしたい。