資産を譲り渡したものの、代金を払ってもらえなかったら、場合によっては取り立てを外注することもある。外注先としてすぐに思い浮かぶのは弁護士だろう。そして譲渡代金が回収できれば、当然この弁護士に報酬を支払うわけだが、その金は譲渡費用として、譲渡所得から控除したいところだ。しかし、譲渡代金の取り立てのための支払いは、譲渡費用とすることはできない。
譲渡収入金額から控除できる費用は、仲介料、登記費用などのように資産を譲渡するために直接要した費用や、借家人を立ち退かせるために支出した立退料などの、資産の譲渡価額を増加させるために譲渡の際に支出した費用とされている。
そのため、譲渡した後に譲渡代金の取り立てのために支出した弁護士費用は、譲渡に直接要した費用ではなく、また譲渡価額を増加させるための費用でもないため、譲渡費用にはならない。