国外トラブル 罰金支払いの損金算入  国内外を問わず算入NG

 海外進出にあたり、言葉や慣習が異なる外国では取引上のトラブルが付き物だ。ときには裁判沙汰に発展し、場合によっては外国の地方公共団体から罰金を支払うよう命じられることもある。だからといって、ひとたび国外進出したからには、簡単に撤退するわけにもいかない。
 仮に、海外支店でトラブルが発生し、現地で罰金を支払うことになったとする。この罰金は、外国の地方公共団体から裁判手続(刑事訴訟手続)を経て科されたものだが、日本の法人税法では内国法人が外国で納付した罰金や科料については損金の額に算入できないと定められている。
 ここでいう「罰金や科料」とは、裁判手続(刑事訴訟手続)を経て外国または外国の地方公共団体により課されるペナルティーのことを指す。アメリカに代表される、いわゆる「司法取引」により支払うことになったものも、裁判手続きを経て課された罰金または科料に該当する。
 ちなみに、国内でかかる罰金や科料も損金に算入することはできない。これらは社会秩序維持のための制裁として課される性格のものであることから、ペナルティーである罰金や科料が損金算入できてしまうと、節税効果につながり、罰金や科料の本来の目的に反してしまうためとされている。


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