重度の障害がある人には自治体などから各種の助成などがあるものの、その生活はほとんど親族が生活を支えているというのが実態だ。そのため、生計を支えるひとは「自分の死後はどうしたら……」という不安を抱いているケースが多い。財産を残したとしても、多くを税金で持っていかれては、障害のある人の生活は成り立たないのではないかと思うのは当然だ。
そんな不安を軽減する方法として、「特定贈与信託」という制度がある。これは、親族などの個人(委託者)が信託銀行(受託者)に自分の財産を預け、信託銀行から特別障害者(受益者)に定期的に金銭を交付するというもので、特別障害者は6千万円を限度に贈与税が非課税になる。
特別障害者は、①重度の知的障害者と認定された者、②精神障害者1級の者、③身体障害者1級または2級の者――などを指す。信託する財産として認められるのは、金銭、有価証券、金銭債権、あるいは一定の要件を満たす不動産。受託者である信託銀行は、特別障害者の実際の生活費や入院加療費などの必要に応じ、定期的に信託財産の一部を金銭により支払うことになり、贈与者の死後も安定した収入につながり得るという。