会社経営に法的トラブルはつきもの。訴訟社会に突入した昨今ではトラブルの対処の仕方一つで命取りにもなりかねないため、中小企業の間でも弁護士との顧問契約を検討する動きが目立ってきている。また、特許権などの重要性が広く認知され、ビジネス展開も増える中で、こうした知的財産権などの侵害に対する防衛手段として弁護士とのパートナー契約を締結する企業も増えている。
弁護士に対して支払った費用については、その具体的な内容によって税務上の取り扱いが微妙に異なるので注意が必要だ。例えば、月々の顧問料については、期間の経過に応じて損金に算入する。顧問料は特定のサービスを受けるために支払った対価なので、1年分まとめて支払っても短期前払費用の特例を基本的に適用することはできない。
また、訴訟の着手金については、例えば特許権侵害による損害賠償請求をするために契約した弁護士に対する訴訟の着手金であれば、支出日の属する事業年度で損金に算入することになる。着手金は訴訟の勝ち負けにかかわらず支払われるものであり、一種の「防衛費用」という性格も持ち合わせているためだ。
そして、訴訟に勝ったときに支払う成功報酬金については、①債務が成立している、②給付すべき原因となる事実が発生している、③金額を具体的に算定できる――という3つの要件を満たせば、その事業年度の損金となる。