自民党の税制調査会が2026年度税制改正に向けた協議をスタートさせた。幹部会合である「インナー」のメンバーは半数ほどが交代となり、その顔ぶれにも〝高市カラー〟がにじんだ。
自民税調はこれまで、インナーに入る一部の幹部が事実上の決定権を持つ独特な運営がなされてきた。前会長の宮沢洋一氏は旧大蔵省出身で、減税には恒久的な財源が必要との姿勢を示すなど自民党内でも存在感を保ってきた。
今回は、半数ほどのメンバーが入れ替わった。会長は初の税調入りとなった小野寺五典前政調会長。税調ナンバー2に当たる小委員長には山際大志郎元経済再生担当相が就任したほか、西村康稔元経済産業相もインナー入りした。山際氏は旧統一教会との関係、西村氏は旧安部派の幹部として派閥裏金問題への関与などが取りざたされた元閣僚だが、経済成長を重視する高市首相の姿勢にはマッチした人選となったようだ。
自民税調に与えられる課題は今年も多々ある。ガソリン税の暫定税率廃止に向けた議論のほか、「年収の壁」をめぐる公明、国民民主との協議、自動車関連税制の見直しなど、いずれも国民生活に密接に関わる課題だ。宮沢氏と同じ旧大蔵省出身の後藤茂之元経済再生担当相は小委員長から「小委員長代理」に事実上降格したものの、これまでの与野党協議に関わっていた経緯もあり、インナーには今後も加わる。
インナーの初回会合後、小野寺税調会長は「今までは税の専門家という括りで税調が行われていたかもしれないが、むしろ国民目線で開かれた税調というのが高市首相の考えだ。決して税(の議論)を長年やってきていなくても、私どもの暮らしに直結する各分野の専門家に入ってもらった」と述べている。