「地方税制のあり方」で検討会  東京一極集中による税収の偏在

 総務省は8月21日、「地方税制のあり方に関する検討会」を開催し、地方関係4団体と経済2団体から意見聴取した。また、ヒアリングに応じた6団体が提出した資料も同日公表した。地方団体からは「東京一極集中」による税収偏在の是正を求める意見が相次いだ。
 全国知事会の資料では、「東京一極集中が続き行政サービスの地域間格差が顕在化するなか、拡大しつつある地方団体間の税収の偏在や財政力格差の状況について原因・課題の分析を進め、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向けて取り組むべきである」としたうえで、「地方全体の財源を充実させ、税収全体のパイを拡大させる視点が何より重要」であると主張している。
 全国市長会は、「地方消費税を都市自治体の基幹税として位置付けるなど税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系を構築すること」「地方が担う事務と責任に見合う税財源配分を基本とし、まずは、税源移譲による国・地方の税源配分『5:5』の実現を図ることにより、地方の財政自主権を拡充すること」などを求める内容を盛り込んだ資料を提出した。全国町村会は「偏在性の小さい安定的な地方税体系の構築や地方交付税の安定的確保等により、地方の自主財源を拡充し、町村の財政基盤を強化することが不可欠である」として、地方交付税が町村の財政基盤であると強調。指定都市市長会は「東京都と指定都市平均で格差が生じており、税目別で見ると、特に法人住民税について格差が大きい」として、「国・地方間の税源配分の是正」によって法人住民税の配分割合を拡充するよう求めている。
 経済団体からは、日本経済団体連合会が基本的な考え方として「都道府県より広域のブロックとして『道州圏域』を一つの仮想単位(区割りは設けない)とし、バーチャルな道州圏域ごとに大胆な独自施策を実行できるための仕組みを柔軟に推進」するべきだと主張したほか、情報サービス産業協会からは「情報サービス企業が東京に集中している要因」についての資料が提出された。同協会では、企業経営とIT人材確保の両面から、東京に集中せざるを得ない現状を分析したうえで、クラウドとAIの進展が今後の状況変化に影響を与える可能性についても指摘している。


TAXニュースへ戻る