やったもん勝ちか  止まらない大企業の減資

 今年3月末までの1年間で資本金1億超から1億円以下に減資した企業が1235社あったことが東京商工リサーチの調査でわかった。前年の959社から約3割(前年比28.7%増)増えた。税負担軽減のメリットをはじめ、持株会社や分社化など組織変更も進み、コロナ禍で悪化した財務内容の強化など様々な理由で減税を行う企業が増えている。一方で、株主資本に影響が出ない資本剰余金などに振り替える形式的な無償減資も散見され、税負担の公平性を疑問視する声も聞かれる。与党内や総務省では外形標準課税見直しの検討も始まっており、今後議論は活発化しそうだ。
 資本金1億円以下へ減資した主な企業には、359億7586万5942円から1億円に減資した日医工や、247億9883万965円から1億円に減資した旅行業のエイチ・アイ・エスなどがある。
 産業別では、サービス業他の878社(同27.4%)が最多。次いで製造業の515社(同16.0%)、情報通信業388社(同12.1%)と続く。減資社数の前年比では農・林・漁・鉱業が60.7%と急増。円安や燃料高などコスト増が続き、収益悪化や赤字補填による減資が増えたとみられる。
 1億円以下へ減資した企業は数々の優遇措置で税負担が軽減される。実質的な大企業が税負担から逃れるために減資を行うのは公性が損なわれるとの批判もあるが、今後も減資企業が相次ぐ可能性は高い。


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