▼今週の注目記事  社長のミカタ 5月号1面より

混乱必至の
定額減税

 物価高対策として「定額減税」が実施される。税のプロである税理士ですら「ややこしい」と口をそろえるほど複雑な制度で、経理の現場では大混乱が予想されている。そうした状況を政府も想定してか、2024年度の税制改正大綱では法成立を待たずに準備を始めることを明記した。そのため情報は順次公開されているものの、全貌が明らかになっているわけではない。年末調整とは異なる同一生計配偶者の確認など、事業者がするべきことは多い。直前になって大慌てとならないよう今から準備を始めたい。

年末調整と異なる扶養対象

 1人当たり所得税から3万円、住民税から1万円の計4万円が税額控除される「定額減税」が6月に始まる。対象となるのは、2024年分の所得税に係る合計所得金額が1805万円以下の国内居住者だ。合計所得金額48万円以下(給与収入103万円以下)の同一生計配偶者がいれば、納税者本人の給与から併せて税額控除される。仮に、職に就かない配偶者と小さな子ども2人であれば本人分も含めて4万円×4人で年間16万円の減税となる。

 住民税は6月分の給与では天引きされず、定額減税後の住民税の額を11分割して、7月分〜翌年5月分の給与から特別控除される。

 一方、所得税は給与や賞与の額によっては6月に3万円が引かれて控除は終了する。6月の給与だけでは引き切れない場合、翌月、翌々月と繰り越されて特別控除(月次減税)していく。そのため、現場は6月から年末までの半年間は月次減税の事務を強いられることになる。つまり天引きする所得税を計算するだけではなく毎月の給与でどこまで減税したかも管理する必要が出てくる。これについて国税庁では定額減税の処理状況を管理するための「各人別控除事績簿」を公開している。ただ、都内の税理士の一人は「それでも担当者がしんどい制度であることに変わりはない。情報を記載してもその確認はかなり神経を使うはず」と現場の混乱を予想する。

 さらに、給与計算担当者の負担はこれだけにとどまらない。今回の定額減税は例年の年末調整で行っている配偶者控除や扶養控除の範囲とは対象が一致しないことから、把握していない情報をあらためて収集する必要があるためだ。

 まずは、納税者本人と同居している16歳未満の扶養親族が何人いるのかを確認しなければならない。扶養控除では、中学校を卒業する15歳の誕生日後の最初の3月31日までの子は児童手当の対象となり、例年の年末調整では控除の対象外となっている。そのため、事業所では把握できていないことも多いだろう。だが、6月からの定額減税では所得48万円以下なら16歳未満の扶養親族も対象となる。新たに子どもが誕生していないか、留学した子女がいないかなども調べる必要がある・・・

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